「普通の家」受賞記念。「千葉市優秀建築賞」シンポジウム2006 

建築文化の向上と都市景観に対する市民の意識を高めていただくことを目指して、建築シンポジウムが12月20日に開催されました。各受賞者の作品紹介と質議が行われ選考委員長の栗生氏から総評がありました。

総評 千葉市優秀建築賞選考委員会 委員長 栗生 明

名匠、小津安二郎監督に「宗方姉妹」という映画があります。新しい生活やファッションに強く憧れる妹(高峰秀子)に、姉(田中絹代)が「いつまでも古くならないことが、新しいということじゃないかしら」ときっぱりと言う印象的なシーンがありました。この映画(原作は大佛次郎)のライトモチーフと言えると思います。今回、千葉市優秀建築賞の審査で作品を見て回っていてこの映画の事を思い出しました。一過性の目新しさが押さえられ、飽きのこない味わい深さを持つ作品が多く見られたからです。タイトルが「普通の家」と名付けられた住宅さえありました。実際は、普通であることは大変難しいことです。当然ですが、この場合の普通は凡庸を意味するものではありません。時間(歴史)や環境(風土)という厳しい評価に耐えて作られた空間は、目立った新しさはありませんし、一見普通に見えるかもしれません。しかし鍛え抜かれた美意識によって創作された空間は、我々に心地よい緊張感と優しく包み込まれるような安らぎを与えます。建築の審査はややもすると表面上の「新しさ」に評価の目がひかれがちです。現代の主流をなすモダニズムのデザイン思潮は、なによりもまず新しさに価値を置いているからです。そんな中であえて普通であること、いつまでも古くならないことに意を注いだオーナーの価値観、それに答えた設計者の識見と工夫、施工者の精緻な技倆を高く評価したいと思います。

日時:12月20日(水)午後1時30分〜4時30分

会場:生涯学習センターホール(中央区弁天3)

内容:「第19回千葉市優秀建築賞」表彰式、栗生 明 氏(千葉大学工学部教授)と入賞建築作品の関係者とのパネルディスカッション。

参加費:無料。参加自由。

問合せ:建築指導課 043-245-5694

 


 

建築家8人展+3 2006.8.15〜8.20 於:佐倉市立美術館

昨年に引続き今年も建築展の開催です。第二回開催にむけて高島さんに挨拶文を書いて頂きました以下にご紹介します。

第二回 作品展開催にあたり 盛夏の候私たちの作品展にお越しいただき心より御礼申し上げます。昨年この場所で第一回の展覧会を開いた数ヶ月後、耐震偽装という建築物の信頼を大きく損ねる行為が発覚しました。日々より安全で質の高い建築をめざして切磋琢磨している私たちにとっては思いもよらない残念な事件でした。一方これを機に、建築を造る複雑なシステムに社会的関心が高まり現在官民で様々な改善策が検討されています。この様な状況をふまえて、今年は昨年のデザイン系の建築家・造形作家に加えて、注目をあびた構造設計の専門家に参加を呼びかけ ここに「建築家8人展+3」を開催することと なりました。今日医療の世界においてインフォームド・コンセントが求められるように、建物を創る過程においても市民の知る権利に充分応えなければならないと考えています。今回のささやかな作品展がみなさま方とこの地域で活動する私たち専門家の情報交流の一助になればまことに幸いです。 どうぞ、ごゆっくりご覧下さい。  2006年夏

 


 

建築家7人展+1 2005.8.16〜8.21

佐倉市にゆかりのある建築家7人+造形作家の作品展を佐倉市立美術館にて2005.8.16より8.21まで開催しました。これまで手がけた建築作品を各自パネルや模型で展示しました。6日間という短い期間でしたが、予想に反して700人以上ご来場頂きとても嬉しい結果となりました。公立の美術館で「建築展」というのは、まだまだ珍しい企画とのことでしたが、特に住宅建築に興味をもって来場していただいた方も多く、意義のある展覧会となりました。会期終了後の打ち上げでも「来年もまたやりましょう」なんてことになりました。