家づくりについて

 建築材料とコストの関係

一般的に、大量生産、大量流通 している建築材料は安いものと考えられます。また、重量的に重いもの(比重が大きい)はコスト高で、軽いものはコスト安という傾向があります。それと、工場であらかた作っておいて、現場で施工する手間を少なくするほうが安くなります。製品は純粋に、空気、水、土、石、鉄鉱石、原油、木など地球に存在している本来ただのモノが、建築材料として製品になるための労働力の対価です。ということは、家って、地球に存在する自然なものや化学製品でできていますが、家のコストは100%労働力の対価で決まるべきものです。流通 のどこかで不当に利益を追求したり、効率の悪い生産方法は、淘汰されていくのが現状です。家の全体コストは、材料生産労働力+運搬労働力+施工労働力=家のコストということになりそうですが、実際にはこれだけでは家は完成しません。設計のグレードや監理と現場での施工管理、は労働コストですし、住宅メーカーでは、宣伝費や営業経費が含まれます。

 家を作る

家を衣服でたとえてみましょう。既製服とオーダーメイドがありますが、近ごろの既製服は少量 生産になってきていますが、その反面大量生産の時よりもサイズは限定しています。したがって、着る人がそのサイズに合わせる必要があるので、デザインはかなりおおまかなものが流行します。オーダーメイドは御承知の通 り着る人に合わせて作ることができます。住まいに何LDKという生活スタイルが定着したのは、ある意味ではサイズが限定した既製住宅を無意識に受け入れていた結果 でもあります。近頃、フリープランといううたい文句で提案する住宅メーカーがありますが、基本的には、何LDKという範疇の提案に留まり、光や風の入り方や立体的な空間の取り方までも思考する姿勢があるのかどうかは甚だ疑問です。生活スタイルは多様化していますし多様化してゆく必要があります。ましてや、異なった敷地に無理矢理、既製住宅のプランを当て嵌めるのには限界があります。生活スタイルのみならず気候風土や周りの環境によって、家の設計プランは一つ一つすべて異なるべきものです。

 設計事務所の仕事

私達の仕事は、図面を描いて、確認申請を行うことだけが仕事ではありません。家は、希望をすべて取り入れて、安ければ安い程いいに決まっていますが、ただ高価な材料を使えば良い家が出来る訳でもなく、設計(デザイン)と施工に大きく関係してきます。全体の予算を設定し、それに合わせて全体のバランスを調整しながら、家の設計を進めて行きます。ああしたい、こうしたいという御希望の優先順位 を的確に判断することや、それを実現するために、敷地を最大限に活用した提案や社会状況に応じた建築材料を選択したりします。狭小敷地の最大活用や、将来の生活スタイルの変化に伴うフレキシブルな工法の提案をし、施工にあたっては建材を輸入したり、現地から直接購入したり、職人を選定したりと、メーカーや工務店に対してしがらみがない為、独立した立場で最良な方法を提案できることを仕事としています。