1985 シャトル・スペース

■所在地/千葉県佐倉市

■家族構成/老夫婦+若夫婦+子供二人

■構造/型枠コンクリートブロック造(1階)木造(2階)一部鉄骨梁

■敷地面積/176.41M2(53.36坪) ■建築面積/ 82.47M2(24.90坪)

■ 延床面積/162.79M2(49.24坪)

 

「往復する空間」という意味でシャトル・スペースと名付けたこの住宅は、自邸として計画した二世帯住宅である。 二方道路に面する利点を活かしエントランスを東西に設けることで二つの住宅の独立性を確保しながら、全体が繋がっている空間構成になっている。一階は寝室等の個室と水廻りを配置、二階はリビングスペースを中心にシャトル・スペースと名づけた屋根裏で全体が繋 がっており上階に向かうにしたがって開放性をもたせている。 一階:鉄筋コンクリート造、二階:木造という混構造やトップ サイドライトからの光りの取り入れ方は、上層に向かうにつれ て体感できる開放性や回遊性を体感するデザインの要素になっている。

 
子世帯の玄関はタラップで道路との関係を遊離させた
高齢者とはいえ元気に暮らす老夫婦と若夫婦家族とがフィフティ-フィフティな関係を保つ二世帯住宅です。生活の方法や嗜好が異なることを前提に水廻りや主要な生活の場は各々個別 に確保しています。玄関と階段も別に配置し、階段をX状に 交叉させ、採光の取り方や通 風など、まったく対等な生活空間にしています。一階は、互いの プライベートのペースで、環境的に条件のよい二階に居間を配置しています。三階のシャト ル・スペースと名付けた部屋を介してお互いの居間どうし気配を感じる仕組みになっています。 二世帯で住むということが、時間を経てどのような関係を保って行くのか・・・当事者でありながら興味深い試みとなっています。
 
南面のボールト屋根が二つの世帯を連続させている
2006年、築 20年を経て家族の構成も大きくかわりました。老夫婦も一人になりました。介護が必要になり、子供達はそろそろ成人を迎えます。シャトル・スペースが子供室として個室になったり、片方のリビングが私のアトリエになったりと、必然的な感じでスペースの用途が変わってきました。住宅はたかだか20年でも、そこに住む家族の関係は随分変わってくるものだと思います。特定しない空間づくりは生活の変化にとても対応しやすいという事も実感しています。
 
子世帯のリビング
 
 
親世帯のリビングからシャトル・スペース(共有空間)を望む